ワイヤーカットの切断も結線もできない!MAKINO U6 HEATが清掃で復活した話

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機械のトラブルというのは、こちらの心の準備を待ってくれません。

ついさっきまで普通に加工していたのに、次の瞬間には「えっ、なんで?」となる。金型を作っていると、できれば経験したくないのに、こういう経験だけは増えていきます。

今回は、弊社で使っているワイヤー放電加工機「MAKINO U6 HEAT」で起きたトラブルのお話です。

加工後のワイヤーが自動で切断できない。しかも、その後は自動結線までできなくなった。

なかなか心臓によろしくない展開でしたが、最終的には切断部分の清掃で、どちらも元通りになりました。

約1時間あたふたした末に、改めて日常点検の大切さを思い知らされた一件です。最後には、ちょっとお恥ずかしいオチもあります(笑)。

目次

加工は終わった。ところが、ワイヤーが切れない

今朝、U6 HEATで加工をしていたときのことです。

加工が終わると、普段なら自動でワイヤーを切断してくれます。こちらも、いつもの流れで次の加工へ進むつもりでした。

ところが、そのワイヤーが切れません。

「たまたま、うまくいかなかったのかな?」

最初はそのくらいの気持ちでした。もう一度試せば動くだろうと思い、再度切断を試します。

……切れない。

何回やっても、切れない。

こうなると、さすがに「たまたま」では片付けられません。機械にもう一度お願いしてみても、結果は変わらず。こういうとき、人間は同じ操作を繰り返しながら、だんだん祈りを込めるようになります。

ただ、祈っていても次の仕事には進めません。

そこで今回は、仕方なくニッパーでワイヤーを切断しました。

「ひとまず切れたし、次の加工を始めよう」

これで話が終わればよかったのですが、そう簡単には終わりませんでした。

今度はワイヤーがつながらない

次の加工を始めるために、自動結線をしようとしたところ、今度はこちらもできません。

切れないうえに、つながらない。

ワイヤーに関する「そこで止まらないでほしい」が、続けてやってきました。

切断だけの問題だと思っていたのに、結線までできなくなると、一気に焦ります。

「切断部分だけの問題じゃないのか?」

「どこかにワイヤーが接触している?」

「何か見落としているところがある?」

頭の中にはいろいろな可能性が浮かびますが、肝心の機械は動いてくれません。こちらの頭だけが忙しく動いている状態です。

接触している場所を探しても、異常が見つからない

まず気になったのは、ワイヤーがどこかに接触していないかということでした。

思い当たるところを、くまなく確認していきます。

ところが、確認した範囲では問題が見当たりません。

何か分かりやすい異常があれば、「ここだ」と対処できるのですが、見ても分からない。それでも、切断も結線もできないという事実だけは変わらない。

これが、なかなかしんどいところです。

金型の仕事では、機械が止まると、その先に予定している加工のことも気になります。「今日の段取り、どうしようかな」という考えが頭をよぎると、余計に落ち着かなくなります。

あれこれ確認しているうちに、そろそろ自分でできることも尽きてきました。

「もう、MAKINOのサービスに電話しよう」

そう考えていたところで、機械に用意されていたメンテナンス動画が目に入りました。

電話する直前に見つけた、切断部分の清掃動画

見つけたのは、ワイヤー切断部分を清掃するためのメンテナンス動画です。

「もしかして、ここなのか?」

動画の内容を確認し、その手順に沿って清掃をしてみることにしました。

清掃したのは、メンテナンス動画で黄色く示されていた、カッターチップのワイヤー接触面です。動画の手順に沿ってこの部分を清掃し、水で洗い流したところ、切断も結線も元通りになりました。

動画の画面には、英語で「the wire contact surface of the cutter chip」と表示されていました。最初はセンサーのような部分かと思っていたのですが、清掃箇所は、このカッターチップのワイヤー接触面だったわけです。

今回の作業では、各清掃に使用する酸を使ってその接触面を磨き、その後、水で洗い流しました。

※これは今回行った作業の体験談です。使用する薬剤や清掃方法は、機械の取扱説明書・メンテナンス動画の指示に従ってください。「酸なら何でもよい」という意味ではありません。

それまで、ワイヤーの接触などを一生懸命探していたのですが、ここでようやく切断部分の清掃にたどり着きました。

機械のすぐ近くに、確認すべき動画があったわけです。焦っていると、こういうものが意外と目に入らないんですよね。

清掃したら、切断も結線も元通りに

清掃を終え、改めて動作を確認してみました。

すると……。

ワイヤーが切れる。結線もできる。

さっきまで何回試してもできなかった動作が、いつも通りに戻りました。

「ああ、よかった……」

本当に、このひと言です。

切断だけでなく、結線まで復活したことで、ようやくひと安心。トラブルへの対応は、あれこれ確認していた時間も含めると1時間近くになっていました。

普段は当たり前だと思っている自動切断と自動結線ですが、止まってみると、そのありがたさがよく分かります。

何事もなく動いてくれる機械が、これほど頼もしく見えるとは。朝からなかなか濃い時間を過ごしました。

なぜ両方直ったのかは、決めつけない

今回、はっきりしているのは、カッターチップのワイヤー接触面を清掃したあとに、切断と結線の両方が正常に戻ったということです。

ただし、この接触面の状態が、どのような仕組みで切断と結線の両方に影響していたのかまでは、確認できていません。

そのため、「この症状なら必ずここを掃除すれば直る」とまでは言えません。

あくまで、弊社のU6 HEATで今回起きた症状は、カッターチップのワイヤー接触面の清掃によって復旧したという実例です。

直った勢いで原因まで言い切りたくなるところですが、そこは分けて考えておきたいと思います。機械が復旧したからといって、こちらが急に機械の内部事情まで分かるようになるわけではありませんので(笑)。

実は、週に1回チェックする項目でした

さて、ここまで読んでいただいたところで、今回のオチです。

この清掃箇所、メンテナンス画面で確認してみると……。

本来、1週間に一度チェックしなければいけない項目でした。

はい。まず確認すべきところでした(笑)。

未知の故障に立ち向かっていたつもりが、最後にたどり着いたのは定期点検の項目。なかなか反省させられる結末です。

普段、問題なく加工できていると、「今日も動いているし、大丈夫だろう」と思ってしまいがちです。でも、動いていることと、手入れが行き届いていることは、必ずしも同じではないんですね。

今回は約1時間、焦りながら原因を探すことになりましたが、その前に点検項目をきちんと確認していれば、違う朝になっていたかもしれません。

忙しいときほど、点検の時間はつい惜しくなります。ところが、止まってから原因を探す時間は、こちらの都合に関係なく持っていかれる。身をもって勉強しました。

いつも通り動かすために、いつもの点検を

今回は、MAKINO U6 HEATでワイヤーの自動切断と自動結線ができなくなり、切断部分の清掃で復旧したお話でした。

機械が動かなくなったとき、メーカーのサービスに相談できるのは心強いことです。それと同時に、機械に用意されているメンテナンス動画や点検項目も、改めて確認する価値があると感じました。

大きな故障かもしれないと焦っていたところから、清掃で元通りになったときの安心感。そして、「週1回のチェック項目」という文字を見たときの、何とも言えない気持ち。

両方とも、しばらく忘れられそうにありません。

弊社でも今回の一件を教訓に、日常の点検を見直していきたいと思います。

金型の精度も納期も、まずは機械が安定して動いてくれてこそ。

次は機械に止まって催促される前に、こちらから掃除をしようと思います(笑)。

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