樹脂の種類によっては、一定期間成形作業を続けると、強固なガス膜や樹脂由来のヤニが堆積します。
このガス膜や樹脂ヤニが製品表面に影響を与え、製品が「もやもや」とした外観を持つようになることがあります。
さらに、ガスが適切に逃げることができなくなると、バリが発生したり、樹脂が十分に充填されないショートという不具合が生じる可能性があります。
したがって、これらのガス膜や樹脂ヤニを定期的に取り除くメンテナンス作業が必要となります。しかし、これらのガス膜や樹脂ヤニは非常に強固で、通常のパーツクリーナーでは容易には取り除くことができません。
そこで、このような強固なガス膜や樹脂ヤニを効率的に除去することができる製品をご紹介します。
これらの製品は、頑固なガス膜や樹脂ヤニの除去を容易にし、製品の品質を保つための重要なツールとなります。これらの製品を使用することで、製品の表面が「もやもや」した外観を持つことを防ぎ、ガスが適切に逃げることができ、バリやショートといった不具合が生じる可能性を低減することができます。
SUMICO スミモールドDRで頑固なガス膜や樹脂ヤニを取り除く
樹脂成型金型のガス膜や樹脂ヤニを除去するのに役立つのが、『SUMICOのスミモールドDR』です。
こちらは成形屋のお客さんから教えていただいたのですが、これを吹きかけてしばらく放置すると、樹脂が溶けるようにとれていきます。
SUMICOのスミモールドDRとは?
『SUMICOのスミモールドDR』は、樹脂成形金型用のガス膜除去剤で、化学的に変化した樹脂を溶解する性能に優れています。これを使用することで、樹脂成形時に発生するガス・ヤニなどの頑固な汚れを効果的に除去することが可能です。
まず、頑固にこびりついた樹脂が付着したワークにスミモールドDRを吹きかけます。この製品はスプレータイプで、容量は420ml、質量は430gです。スプレー形式なので、均一に吹きかけることが可能で、特に困難な場所にも容易に到達できます。
スミモールドDRを吹きかけた後、しばらく放置します。この間に、製品の成分が樹脂に作用し、樹脂を柔らかくし、表面から浮き上がらせます。この状態になった樹脂は、後の工程で容易に取り除くことができます。
以上が、スミモールドDRを使用して樹脂を除去する初めの手順です。
この製品を使用することで、樹脂成形金型のガス膜や樹脂ヤニの除去作業が大幅に簡単になります。
SUMICOのスミモールドDRを実際に使っていく
というわけで、下の頑固な樹脂がこびりついたワークにスミモールドDRを吹きかけていきます。
目の粗いペーパーかダイヤモンドヤスリなどでようやく削れる位の非常に頑固な樹脂がこびり付いています。
これにスミモールドDRを吹きかけると以下のようになっていきます。
この製品を使用する際は、まず製品に吹きかけ、約3分間放置します。
その結果、樹脂は柔らかくなり、上の写真のように樹脂が浮き上がり、ゼリー状に変化します。
次に、このゼリー状の樹脂を取り除く作業に移りますが、製品に傷をつけるような硬いもので擦ることは避けるべきです。
樹脂を取り除くのに適した道具としては、上の写真にも見られるような「木」や、細かい目のスポンジペーパーが最適です。これらの道具は、樹脂を効果的に取り除くことができ、製品に傷をつけることなく作業を進めることができます。
しかし、これらの道具でも取り除くことが難しい頑固な樹脂に対しては、少し粗い目のスポンジペーパーを使用することも可能です。このような道具を使用することで、より強固な樹脂も効果的に取り除くことができます。
↑どうしても取れない頑固な樹脂には粗目のスポンジペーパーで。
一度目のスプレーと磨きでこのぐらい👇取れます。
このような手順で、製品に製剤を吹きかけ、その後で磨くという工程を2回、3回と繰り返すことで、ガス膜や樹脂ヤニを効果的に取り除くことが可能となります。
この除去作業の後には、作業対象物に微細な磨き傷が残ることがあります。これは、樹脂を取り除く過程で生じるもので、これを完全に避けることは難しいです。
そのため、除去作業の後は、これらの微細な磨き傷をペーパーなどを用いて後処理する必要があります。
この後処理により、作業対象物の表面はさらに滑らかになり、製品の品質を一層向上させることができます。
この一連の作業を通じて、ガス膜や樹脂ヤニの除去から表面の後処理まで、製品のメンテナンスを効果的に行うことができます。
まとめ
では、最後にまとめです。
以下に、スミモールドDRを使用して樹脂を除去する手順を詳細に記述します。
- スミモールドDRを作業対象物に吹きかけます。この製品は樹脂を柔らかくし、取り除きやすくする効果があります。
- 次に、約3分間放置します。この間に、樹脂は柔らかくなり、表面から浮き上がってきます。
- 樹脂が浮き上がったら、木製の道具や細かい目のスポンジペーパーなど、製品に傷をつけないようなものを使用して樹脂を除去します。この作業は慎重に行い、製品に傷をつけないように注意します。
- 一度の作業で樹脂が完全に取り除けなかった場合は、この手順を2~3回繰り返します。吹きかけては磨く、という工程を再度行い、樹脂を完全に取り除きます。
- 最後に、目の細かいペーパーなどを使用して製品の表面を仕上げます。この後処理により、作業対象物の表面はさらに滑らかになり、製品の品質を一層向上させることができます。
以上が、スミモールドDRを使用して樹脂を除去する手順です。
この一連の作業を通じて、ガス膜や樹脂ヤニの除去から表面の後処理まで、製品のメンテナンスを効果的に行うことができます。
尚、SUMICOスミモールドDRは以下から購入できます。