JFKはなぜ“王殺し”されたのか?ケネディ暗殺に潜む象徴と陰謀の真実

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ケネディ暗殺は単なる政治事件ではない

1963年11月22日、ジョン・F・ケネディ米大統領がテキサス州ダラスで暗殺された瞬間は、現代史上もっとも衝撃的な事件のひとつとして知られています。

だが、いまだ多くの人々が納得していない――「誰が、なぜ彼を殺したのか?」という問いに。

この事件を「王殺し(King Kill)」、すなわち古代から続く象徴的な儀式として読み解こうとする理論が存在します。 この記事では、JFK暗殺をめぐる陰謀論「King-Kill 33」を軸に、歴史的背景、象徴主義、そして未だに機密扱いの文書の現状まで、深く掘り下げていきます。

第1章|“王殺し”という神話構造とは?

人類の歴史において、王や英雄が殺される事件は、単なる政変ではなく“儀式”として語られることがあります。

  • イエス・キリストの磔刑(民衆の目の前で処刑される)
  • フランス革命におけるルイ16世のギロチン死(旧秩序の崩壊)
  • エイブラハム・リンカーンの暗殺(南北戦争後の再統一の象徴)

これらに共通するのは、「民衆の希望を象徴する存在」が公的に殺され、その後に新しい秩序が生まれるという構造です。 この“王殺し”という構造は、神話学者ジョーゼフ・キャンベルの「英雄の旅」にも通じる普遍的な物語型です。

そして、ケネディは“20世紀の王”であり、“アメリカの理想”を体現した存在だったのです。

第2章|「King-Kill 33」理論──フリーメイソン的象徴に満ちた暗殺劇

JFK暗殺を“象徴的儀式”とみなす視点において、フリーメイソンに伝わる神話「ヒラム・アビフの物語」はしばしば比較対象とされます。

■ ヒラム・アビフとアファニズム

フリーメイソンの儀式において重要な象徴行為のひとつに「アファニズム(Affanism)」があります。これは第3階級、すなわちマスターメイソンの通過儀礼の一部で、象徴的な“死”と“復活”の儀式です。特に、ヒラム・アビフが殺された後にその遺体が隠匿されるプロセスは、儀式の核心であり、フリーメイソンにおける秘儀の継承を象徴しています。

この視点から見た場合、JFKの遺体に対する扱いもまた注目されます。事件直後、法医学上はダラスで検死を行うのが本来の手続きであったにもかかわらず、ケネディの遺体は強引に空輸され、ワシントンD.C.の海軍病院で検視が行われたのです。

この遺体移送のプロセス自体が、まるでフリーメイソンのアファニズム儀式をなぞるかのようであり、「象徴的な死を経て、遺体を隠し、支配層による秘儀として完了させたのではないか」との解釈も存在します。

*参考:Freemason Ritual & Symbolism: Affanism and the Third Degree ヒラム・アビフはフリーメイソンにおける象徴的人物で、古代イスラエルの神殿建設に関わった伝説の職人。彼は3人の徒弟(ユベラ・ユベロ・ユベラム)によって、建設の秘密(知恵)を引き出そうとされ、拒否した結果、頭部を殴られて殺されます。

この物語は「知恵ある者の殉教」や「秘儀の継承と犠牲」を象徴しており、メイソンの第3階級(マスターメイソン)の通過儀礼でも再現される中心的神話です。

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■ JFKとの共通点

  • 頭部への致命傷:ヒラム・アビフもケネディも、頭部を撃たれて命を落とす。これは単なる致命傷というだけでなく、王冠(クラウン)=権威の破壊を象徴するとされる。
  • 公共の場での死:両者ともに“見られる形”で殺され、象徴的意味を持たされる。
  • 理想の担い手の抹殺:ヒラムは神殿建設、ケネディは理想国家の構築を象徴。

このような構造的類似性から、「JFKの暗殺はヒラム・アビフ神話を模した現代の“象徴儀式”である」という解釈も一部では唱えられています。

この理論は、アメリカの陰謀論者ジェームズ・シェルビー・ダウナードが提唱しました。 彼はJFK暗殺を単なる事件ではなく、象徴主義に基づいた秘儀的儀式だと位置づけています。

■ 象徴がちりばめられた「暗殺の舞台」

  • 暗殺地点:北緯33度(フリーメイソンの最高位階数)
  • ディーリープラザ:三角形構造、オベリスク的モニュメント、古代処刑場の意匠
  • ケネディが撃たれたのは頭部:象徴的には「王冠の破壊」
  • 映像記録:ザプルーダーフィルムにより、全世界が目撃者=儀式の参加者

こうした一致を、ダウナードは“偶然”ではなく“意図的な儀式”と解釈します。 それが「King-Kill 33」理論です。

*参考:King-Kill/33° — James Shelby Downard

第3章|JFKはなぜフリーメイソンに属さなかったのか?

実際、ジョン・F・ケネディはフリーメイソンの会員ではありません。

これは当時の宗教的背景と深く関係しています。 ケネディは敬虔なカトリック信者であり、バチカンは19世紀以降、フリーメイソンを“神の敵”と見なしていました。

そのため、JFKがフリーメイソンになることは宗教的にも政治的にも困難でした。

この点から、陰謀論者たちは次のように主張します: 「ケネディは“外様”だった。だから排除された」

JFKの改革姿勢

  • CIAの解体を示唆
  • FRBに対する大統領令11110号(紙幣発行権)
  • 軍産複合体への警戒
  • 公民権運動への積極的支援

これらは、既得権益層との摩擦を強め、“儀式的抹殺”の動機になったというわけです。

さらに注目すべきは、「誰がケネディを殺したのか?」という問いに対して、公式には単独犯(リー・ハーヴェイ・オズワルド)とされている一方、複数の勢力が黒幕として名指しされてきた点です。

代表的な“黒幕候補”として挙げられるのは以下の通りです。

  • CIA:ケネディによる組織解体の動きに反発。暗殺前後の情報統制。
  • リンドン・B・ジョンソン:ケネディの死により最大の利益を得た副大統領。
  • マフィア:弟ロバートの司法省によるマフィア弾圧への報復。
  • 軍産複合体:ベトナム戦争への消極姿勢を危険視。
  • ソ連・キューバ:冷戦下での敵対関係。ただし犯行動機としては疑問視される。

これらが単独で、あるいは複合的に連携していた可能性が、現在も陰謀論の中核となっています。

*参考:Wikipedia: JFK Assassination Conspiracy Theories

第4章|リー・ハーヴェイ・オズワルドとジャック・ルビー──二重構造の処刑

JFK暗殺に関する一部の目撃証言や分析によれば、「犯人はオズワルド1人ではなく、複数いた」とする説も存在します。

特に注目されるのが、ディーリープラザにおける複数の発砲音の目撃証言です。

  • 一部の証人は「3発以上の銃声を聞いた」と証言。
  • 発砲方向がバラバラだった(教科書倉庫、グラシーノール、陸橋上など)との主張。
  • ザプルーダーフィルムには、ケネディの体が後ろに跳ねるように見える瞬間が映っており、「正面からの狙撃」があった可能性も示唆されています。
the Guardian
JFK assassination witness questions whether shooter acted alone Paul Landis’s recollection of Kennedy’s slaying is bound to fuel those who believe multiple shooters killed the late president

さらに衝撃的なのは、暗殺時のリムジン車内にいた運転手や助手席など同乗者の人物が至近距離から発砲した可能性を指摘する声もあることです。映像解析では、ケネディが致命傷となる2発目を受けた直後に、頭部が後方へ跳ね、トランク側に頭蓋の一部が飛散する様子が確認されています。

そして、その破片をファーストレディ・ジャクリーン・ケネディがトランク側に乗り出して拾いに行くような動作が映像に記録されており、これも「正面からの致命傷」があったという仮説を支持しています 。

Smithsonian Magazine
What Does the Zapruder Film Really Tell Us? Documentary filmmaker Errol Morris deconstructs the most famous 26 seconds in film history

ケネディを撃ったとされる男、リー・ハーヴェイ・オズワルドは事件から2日後、ダラス市警の地下駐車場でジャック・ルビーにより射殺されました。

この流れもまた、陰謀論の材料となっています。

■ オズワルドの奇妙な言葉

「I’m just a patsy(俺はハメられた)」 → 単独犯ではない、何者かに仕立て上げられたことを暗示

■ ジャック・ルビーとは何者か?

  • ナイトクラブ経営者で、マフィア・警察・CIA関係者との接点があった
  • 「愛国心」で撃ったとされるが、事前に現場に侵入できたのは不可解
  • その後、精神錯乱状態になり「真実は明かされていない」と発言

この二人の連続した死によって、真実の口は永遠に閉ざされた

まるで“スケープゴート”を殺すことで、儀式を完結させたかのように。

*参考:History.com: Who Was Jack Ruby?

第5章|JFK Records Actと「真相」への道

JFK暗殺後に設置されたウォーレン委員会は、公式には「オズワルドの単独犯行」と結論づけました。 しかし、その調査過程や委員の構成に対しても、数々の疑念が投げかけられています。

■ 情報を封じた人物たち

  • ジェラルド・R・フォード(のちの米大統領)は、当時ウォーレン委員会の一員として参加していましたが、後に彼が「陰謀を仄めかすささいな証拠や痕跡を握りつぶしていた」との指摘があります。彼はフリーメイソン33階級のメンバーです。
  • J・エドガー・フーヴァー(FBI長官)は、ウォーレン委員会に情報提供の責任を持っていた人物で、彼もフリーメイソン33階級のメンバーでもあったとされます。
  • アレン・ダレスはケネディによりCIA長官を解任された過去を持ちながら、なぜかウォーレン委員会の中核に選ばれ、CIAの情報の大半を委員会に提出する役割を担った。彼もまたフリーメイソンのメンバーとされています。

これらの人物が関与していたことで、「真相を握るはずの委員会自体が、むしろ情報を操作・統制していたのではないか」という疑惑が強まっています。

1992年、米議会はJFK暗殺に関するすべての記録を25年以内に公開する「JFK Records Act」を成立させました。

しかし、国家安全保障上の理由で完全公開は幾度となく延期されてきました。

  • 2017年:トランプ政権が一部公開しつつも、情報機関の要請により多くの文書を黒塗りまたは未公開のまま延期。
  • 2022年:バイデン政権が13,000件超を追加公開するも、公開済み文書の多くに修正が加えられたまま。
  • 2025年:トランプが再び大統領に返り咲いた後、大統領令14176号により、77,000ページ以上の文書が未修正で公開されました。

■ 公開が繰り返し延期された理由とは?

公開が延期されてきた背景には、以下のような事情があるとされています:

  1. 現役または生存中の情報提供者の保護:古い記録でも関係者が生存している場合、身元や所在が明かされると生命の危険が生じる可能性がある。
  2. 国家安全保障への影響:旧CIAの作戦、海外諜報拠点、暗殺計画などに関する情報が、現在でも外交や軍事上のリスクとなるおそれがある。
  3. 法的・制度的制約:大陪審記録(Grand Jury Records)や納税・医療記録など、法的に公開できない文書も一部含まれている。

このような複合的事情により、「JFKの死の真相」を解明するに十分な情報が、いまだ一般には完全には届いていないのです。

*参考:National Archives: JFK Assassination Records, AP News: Trump Orders JFK Files Released (2025)

1992年、米議会はJFK暗殺に関するすべての記録を25年以内に公開する「JFK Records Act」を成立させました。

しかし、国家安全保障上の理由で完全公開は幾度となく延期。

  • 2017年:トランプ政権が一部公開し、延期を認可
  • 2022年:バイデン政権が13,000件超を追加公開
  • 2025年:77,000ページ以上が新たに公開(Executive Order 14176)

それでも、依然として数千点の文書が黒塗りまたは未公開のままです。

JFK Records Actの本来の目的は、「政府に対する信頼回復」でした。 だが、その目的は今も達成されていません。

*参考:National Archives: JFK Assassination Records, AP News: Trump Orders JFK Files Released (2025)

第6章|JFKは“象徴”として殺されたのか?

JFKの死には、“神話”としての構造があります。

  • 理想を体現する若きリーダー
  • 民衆の前で暗殺される
  • 犯人がすぐに抹殺され、真相が闇に消える
  • その映像が永久に保存・共有される

この流れは、まさに「儀式のように構成された物語」です。

ジョーゼフ・キャンベルの「英雄の旅」として読み解けば、ケネディは死によって“神話”になった存在です。

*参考:The Hero with a Thousand Faces – Joseph Campbell

結論|ケネディ暗殺が語る“理想の死”とその意味

ケネディ暗殺を“象徴的な事件”として見つめ直すとき、私たちは単なる犯人探しを超えて、より深い問いに直面します。

なぜ、彼はあのような形で殺されたのか? なぜ、これほどまでに多くの人が“真相”を求め続けているのか?

その背景には、JFKが“未来への希望”や“理想の国家”を体現した存在だったことがあるのではないでしょうか。

ケネディの死は、アメリカが自らの手でその理想を打ち砕いた象徴であり、 だからこそ「王殺し」として今も語り継がれているのです。

参考文献・資料一覧(注釈付き)

  • Wikipedia: Regicide
    王や君主の処刑に関する歴史的背景を網羅したWikipedia項目。宗教・政治的文脈における“王殺し”の実例が解説されています。
  • King-Kill/33° — James Shelby Downard
    JFK暗殺を秘儀的・象徴主義的に解釈するダウナードの有名な論考。北緯33度やフリーメイソンの象徴性などが語られています。
  • Wikipedia: JFK Assassination Conspiracy Theories
    ケネディ暗殺に関する代表的な陰謀論(CIA、マフィア、軍産複合体など)の要点が網羅されている英語版Wikipediaの解説ページ。
  • History.com: Who Was Jack Ruby?
    オズワルドを射殺したジャック・ルビーの人物像、背景、事件当日の行動などを紹介。アメリカ公式歴史サイトによる信頼性の高い記事です。
  • National Archives: JFK Assassination Records
    アメリカ国立公文書館が運営するJFK暗殺関連記録の公式ポータルサイト。機密文書の公開履歴やPDF閲覧も可能です。
  • AP News: Trump Orders JFK Files Released (2025)
    2025年の大統領命令によるJFK関連文書の追加公開に関する最新ニュース記事です。
  • The Hero with a Thousand Faces – Joseph Campbell
    神話学者キャンベルによる“英雄の旅”理論を解説した代表作。JFKを象徴化する物語構造の理解に役立つとされています。
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