あらゆる病気の原因は体の水不足である、といわれても、それに納得される方はおそらく殆どいらっしゃらないのではないかと思います。
例えば、高血圧の原因は体が長期間にわたり水不足の状態にさせられていることにある、といわれてピンとくる方はほぼいないでしょう。
今回ご紹介する本「医療マフィアは【伝統療法】を知って隠す なぜ塩と水だけであらゆる病気が癒え、若返るのか!?」ユージェル・アイデミール(著) 斎藤いづみ(訳)、小松工芽(解説)には、水と塩だけであらゆる病気が予防できるうえに治ってしまうという、にわかに信じ難い内容が、塩と水によるさまざまな根拠に基づいて書かれています。
また、アンチエイジングにも効果があるかのように書かれており、「老化」というのは脳と神経のエネルギー源である水が失われて乾燥していることである、とも。
果たして、これはいわゆる「トンデモ本」なのでしょうか?
それとも知る人ぞ知る健康法、治療法で、本来一般の人々が知るべきではないとされる利権を揺るがすような驚くべき内容が記されているのでしょうか!?
本の表紙下部には「内海聡医師推薦!」
個人的に興味をそそられ、無性にその塩水療法という謎の治療法、というか健康法を具体的に知りたくなり思わず購入せずにはいられませんでした。
先日読み終えましたので今回はこの本に書かれている「塩水療法」について書いてみたいと思います。
塩水療法とは具体的にどういう療法?
塩水療法というのは、平たくいいますと、水に塩をいれて、塩水を作り、それを飲む!これだけです。
方法自体は至極単純なのですが、これで本当にあらゆる病気を予防、改善できるっていわれてもそんな馬鹿なことがあるのでしょうか。
塩水を飲んでるだけであらゆる病気が治るんだったら、もはや医者はいらないし、海でも行けばいいんじゃないのか?とも思ってしまうところです。
そもそも塩のとりすぎは高血圧の原因じゃないか!!こんなのデタラメだろ!と思われる方もきっと多いことでしょう。
しかし、それは天然の自然塩ではなく、食品会社などから出ている「精製された塩(いわゆる精製塩)」を取り過ぎた場合に起こるようです。精製塩というのは、自然塩からほぼ塩化ナトリウム(NaCl)だけにされ、その後から化学物質が添加されたものなのです。それによって本来あるはずの数十種類のミネラルがそぎ落とされており、精製塩が人体に入ると塩化ナトリウムの影響を強く受けてしまうことから高血圧になりやすくなるようです。反対に天然の自然塩には血圧を下げる(調整する)作用があるといわれています。
精製塩と自然塩の見分け方はなかなか難しいかもしれませんが、単純に精製塩は自然塩と比べて信じられないくらい価格が安いです。それはもう値段が一桁違うくらいに。
※ただし日本人は塩の影響を受けて高血圧になってしまう体質「塩感受性」の方が世界的に見て割合が大きい(日本人全体の2割位いるらしい)と言われています。また、心臓、腎臓の機能が低下している方にとっては危険であるなど、自然塩なら誰でもどれだけ摂取してもいいってものではないので注意です。
塩水療法のベースは飲水療法にあった
元々塩水療法の元となった、「飲水療法」というものがありました。これはイラン人医師バトマンゲリジ氏によってもたらされたもので、
「さまざまな健康上の問題の発生が、長い間水を飲まなかったために体が乾ききってしまったことが原因」であるといいます。
参考リンク👇
彼はイラン革命時代に政治犯として刑務所に入れられた3年間、医師として囚人たちの治療にあたりました。そこには医療設備も薬もなく、使えたのは水道から出る水だけでした。そして、彼はその水道から出る水が疾病をかかえる囚人たちの病状を良くすることに気づいたのです。彼自身も驚いたその事実を釈放後に、水に関する研究を続けて、「飲水療法」という本を著しました。現在「病気を治す飲水法」というタイトルで発売されています。
なぜ塩と水が高血圧に有効なのか?
- 細胞液の66%
- 細胞間を埋める体液の26%
- 血液中の水分の8%
これらを吸収してほかの器官へ分配するようです。こうなると体全体の血液量は8%減少し、血管も収縮します。しかし、体のエネルギー需要に変化はないため、心臓は体の隅々まで酸素や栄養素を届けなければならなく、そのために血圧と心拍数が上がります。
血管内の血液量の減少とともに、収縮した血管に血液を送り込まなければならないため圧力が増し、さらに水分量の減った血液はどろどろに濃くなってさらに流れが悪くなるという悪循環が高血圧の機序というわけです。
これが高血圧の原因は体内の水不足であるという理由なんですね。
続いて+塩について。
精製塩と違い天然塩は体内の水分調節、pHバランスを整え、体を暖めます。体内に天然塩が十分に摂取されていないと、水を体内に蓄えることが出来ず、活力を失ってゆっくりと死に近づいていくとのことです。
また、水は塩なしには体や細胞膜の内部に入り込むことが出来ません。水だけでなく、体内のほとんどの物質交換は浸透圧によって可能となり、この浸透圧は塩によって生み出されます。塩がないと物質交換は止まってしまい、生命が失われていきます。病気の原因となる体内の乾燥を止め血液中の水分量を増やしたいのであれば、水を飲む必要があるのと同じく水を体の隅々に届ける役割を果たす天然塩をとらなくてはならない、というわけです。
十分な量の水を計画的に飲むと短期間で高血圧が消えます。なぜかといえば血管を流れる血液の量が正常になり、血管も自然と拡張するからです。水と塩はともに体内の水分量を調整しますが、天然塩を摂取しないとこの調整機能は失われるのです。
以上、本書p78~p85の内容の一部を引用させていただきました。
塩と水の割合
話は戻り、塩水療法用の塩水の作り方に入ります。まず、水何リットルに対して塩何グラム必要なのか?
薄すぎればこれでいいか不安になるだろうし、逆にしょっぱすぎても飲めないし、いくら自然塩が体に良いといっても採り過ぎるのはどうかと思います。
当然ながら、塩水療法には塩と水の比率は決まっていまして、その塩と水の割合というのが、
「水1リットルにつき、塩1グラム」
つまり塩分濃度は0.1%とのことです。
実際に作ってみると、ほぼ塩味は感じません。口当たりが少しマイルドになるといいますか、通常の水に比べてなぜか飲みやすくなります。薄い経口補水液といった感じでしょうか。夏に実践すれば一石二鳥ですかね。
飲むタイミングと量
塩水療法を実践するにあたり、いつ飲めば良いのか?またどれくらいの容量を飲むべきなのか?なのですが、
飲む量は、一日2リットル~3リットルだそうです。個人的にはかなり多いかなという印象。
飲むタイミングは、
- 朝起きてから・・・コップ2杯
- 朝食時・・・コップ1杯
- 昼食30分前・・・コップ1杯
- 昼食時・・・コップ1杯
- 夕食30分前・・・コップ1杯
- 夕食時・・・コップ1杯
- 就寝前・・・コップ1杯
コップ1杯は300cc
合計で2400cc(2.4リットル)にもなります。
朝いきなり600ccは流石に厳しいですよね。あくまで目安なので飲める範囲で大丈夫だと思います。(汗をあまりかかない方は水分の摂り過ぎになる可能性がありますし、夏と冬でも水分摂取する量はかわるはずですので飲みすぎに注意してください)
推奨される塩:クリスタル岩塩
先述したとおり、塩ならなんでもよいわけではありません。精製塩ではなく、絶対に天然の塩でなければいけないんですね。
本書で推奨されている塩というのが、パキスタン国原産のヒマラヤ産「クリスタル岩塩」。
岩塩と聞くと粒が荒いイメージがありますが、このクリスタル岩塩を触ってみると、パウダータイプを購入したためか粒子が細かくとてもさらさらしていて、雪原のように見えます。
本書によると、なにやら岩塩の種類のなかにも粗悪品があり、岩塩と称して実は精製塩であったり、岩塩っぽくみせるためにあえて塩に着色させているものもあるようです。売るために「岩塩だからとりあえず良さそう」、という消費者心理を利用していることに少し悪意を感じますね。
主観ですが味は最初にほんの少しだけ甘味を感じます。塩味は舌当たりマイルドだけど、少し後からしょっぱさが来る感じですね。フランスのゲランドの塩と比べると、こちらのクリスタル岩塩のほうが甘味は少なめで後味の塩味は強い印象です。これはこれでどんな料理にも凄く合うでしょう。
クリスタル岩塩でないとダメ?
本で推奨されている塩水療法に適した塩は、この「クリスタル岩塩」ではあるのですが、
クリスタル岩塩でなければならないわけではないそうです。
Q&Aによると、汚染がなく非加熱でミネラルバランスの良いお塩であれば良いようです。クリスタル岩塩が推奨されている理由は汚染が無く、水に溶けやすくミネラル粒子が繊細なため、体に浸透しやすいから、とあります。
なので、巷で買える天然塩(天日塩)ならどれでも良さそうです。例えばこのあたり。
推奨される水
続いて塩水療法に推奨される水について。
コレという銘柄の指定はされていないのですが、やはりといいますか水道水は絶対にNGです。主な理由は日本中の水道水で使われている「塩素」、それと水道管を通ってくることが問題なんだそうな。本書の中で水道水は死んだ水として「死水」と呼ばれています。
では市販のミネラルウォーターならいいのか?というと容器がペットボトルの水もプラスチックという性質上よろしくないようです。
水を買うときや、家で保存するときには、なるべくプラスチック製の容器は避けるようにしてください。水は入っている容器の性質を短期間で吸収します。プラスチックは人工物で水の腐敗の原因となります。さらにプラスチックを作る際に使われている科学的な柔軟剤も分解されて水に混ざります。これも危険の一つなのです。
本書P204より引用
困りましたね・・・これでは市販のペットボトルのミネラルウォーターも水道水も使えないということになってしまいます。これに関しては妥協して市販のミネラルウォーターでも私は良いのではないかなとも思っているのですが…
本書では水の保存に「ガラスの瓶」を推奨しています。
浄水器をお持ちのご家庭の場合は浄水された水道水でも良いらしいです。
体内で塩が不足するとどうなる?
- 胃のもたれ、吐き気
- 痙攣
- 疲れ
- 体の柔軟性の欠乏
- 皮膚の乾燥
- 低血圧と血液循環の障害
- 長期間にわたる下痢
- 異常な発汗
塩は採りすぎてもダメですが、不足していてもダメだということです。
近頃は減塩、減塩と色々な調味料や食品が出ていますが、減塩の味噌であったり、減塩の醤油であったり、ああいった食品や調味料はコスト面から考えても察しがつきますが、塩分は精製塩を用いられていて、足りない塩味を塩化カリウム(食品添加物の無機塩「天然のカリ岩塩の精製」)によって補っているようです。減塩だからと安心して使いすぎたり、かけ過ぎたりすると逆に血圧を上げてしまうことになるので、減塩の調味料や食品のほうが逆に体に悪いといわれていたりします。
確かに「減塩」も大事かもしれませんが、どうせ採るならなるべく天然塩のほうを摂取していきたいものです。
塩水療法の効果効能についてのレビューまとめ
塩水療法ってもうある程度実践者がいらっしゃるんですね。アマゾンのレビューや楽天のレビューに多くの星4~5の高評価が見受けられます。
その中での実際に効果があった例を挙げてみたいと思います。
- 花粉症
- 頭痛
- 喉の痛み
- 咳など風邪の症状
- 歯茎の炎症・出血
- 高血圧の血圧が下がる
- 肌がきれいになる
- 筋肉・関節の痛み
- 爪のあらゆる異常が治る
- 糖尿病患者のHbA1cが下がる
これらは実際に実践された方のレビューに書かれていたことですので信憑性は疑いようがありません。しかし、効果効能には個人差があると思いますし、流石にガンが消えた!とか糖尿病が治った!というのは見当たりません。興味があればまず試してみるという感じで、やってみることは大事だと思います。
本書のレビューは非常に高く、アマゾンでは現在284件で星4.3をもらっています。「トンデモ本」と評する方もいらっしゃいますが、「トンデモ本」の類にしては高評価を貰い過ぎなところに注目したいところです。それはつまり、実践者にそれなりの学びや効果があったという証拠ですからね。
※これらのレビューにサクラがいないことを祈ります笑
継続的な塩水療法による改善例
では本書の中で書かれている塩水療法を継続することで得られる効果を引用させていただきます。
- 体内のpHバランスの改善
- 体の電荷の改善
- 循環障害や臓器への好影響
- 血圧の安定
- 体に溜まった老廃物や重金属の排出
- 代謝機能の改善
- 老化の遅延
やはり、上述したレビューと同じような効果が期待されていることがわかります。
私自身が実践してみて
私自身も塩水療法を試しています。流石に一日2リットルも3リットルも飲めないので、飲める範囲で始めています。
効果に関しましては私は特に健康診断でどこかが悪いと出たわけではないので、数値で改善されている部分はないのですが、体調は良くなっているような気がします。
トイレに行く回数は少し多くなりましたが。。。
通常の水では飲みにくい量でもなぜか塩水にすると300ccくらい一気に飲めてしまうのは不思議に感じています。
ちなみに私は朝晩300mlずつ飲んで続けています。
塩水療法に関するおススメ動画
ではここで、塩水療法関連のYOUTUBEおススメ動画をご紹介します。
岡本一馬の認知症専門チャンネルさんの動画
那智健康道場さんの動画
本要約チャンネルさんの動画
YouTube健康セミナーさんの動画。
まとめ
では、塩水療法のやり方についてのまとめです。
- 塩は必ず天然の自然塩で(クリスタル岩塩を推奨?というわけではない)
- 水と塩の割合は水1ℓに対し1g(塩分濃度0.1%)
- 水道水はNGなので浄水器等を使いましょう
- ペットボトルのミネラルウォーターも好ましくない
- 水の保存は瓶を推奨
- 飲む量は1日2ℓ~3ℓ
注意点としては
- 自然塩は体に良いからといっていくら摂取しても良いわけではない
- 心臓疾患、高血圧、腎臓疾患、65歳以上の方は塩分濃度を0.25%から少しづつ慣らすこと
- 腎障害、心臓疾患、血管循環に問題のある方はいきなり2ℓ飲まず少しづつ量を増やすこと
- 起床時と就寝前には必ず飲むこと
塩水療法をやっていてもインスタント食品などの塩分の高い食事をすると普通に塩分の採り過ぎになってしまいますので、そういったジャンクフードやファストフードはなるべく避けたほうがよいでしょう。+αとして、今回の内容とは違いますが砂糖も高血圧の元ですので同様になるべく避けましょう。
塩水は飲む以外にも有効な方法があって、喘息、呼吸器疾患、ドライアイ、花粉症、ソルトバス、手足の痛み、痛風、乾燥肌、吹き出物、湿疹、乾癬etc…非常に多くの改善効果をもたらすようです。内容については長すぎるので割愛させていただきますが、気になる方は是非本書を手に取っていただきたいです。
あと、ペットボトルの水は好ましくないと上述しましたが、「クリスタルガイザー」推しの健康家がとても多いので、クリスタルガイザーで「塩水療法」を初めてみるのも良いと思います。私もクリスタルガイザーはアマゾンの定期便で毎月購入しています。
〇〇療法など健康に関する情報の落とし穴に注意!?
最後に少しだけ。〇〇は体に良い、健康になるっていう情報のとり方には注意が必要です!
〇〇健康法など、今回の塩水療法のように健康に関する情報には、大きな落とし穴があるんじゃないかな~と私は思っています。
テレビで納豆が健康に良いと放送しだしたら、毎日、毎食のように納豆ばかりを食べたり、さば缶がDHA、EPAが豊富だから積極的に採った方が良いと放送したら毎日そればっかり食べたり。
さば缶なんて一週間も毎日食べてたらほとんどの方が飽きてくると思いますが、そうなると体が受け付けようとしなくなります。それが本当に健康的な食事と言えるのでしょうか?
※ちなみに納豆もさば缶も否定するつもりは全くありません!私もよく食べていますが、とにかくそればかりの食べ過ぎ、偏りが良くないのです。ただ、スーパーで買える殆どの納豆は遺伝子組み換えであったり、添加物だらけのタレなど実は体に悪いといわれており、缶詰も内部に使われているBPA(ビスフェノールA)による健康への危険性で問題視されています。
なにかしらの健康法に傾倒し、食が偏ってしまうと結局心身共に不健康への道を辿ることになると私は思っています。
よかれと思って食べていたら不健康になっているなんて本末転倒ですよね。
少し話は違うかもしれませんが、ダイエットにしても〇〇ダイエットなどの「これさえやっていれば痩せますよ」みたいな印象を抱かせるもの、例えばプロテインダイエットで一食をそれに置き換えるのは典型ですけれども、それだけで健康的に痩せるって冷静に考えて本当だろうか?とまずは疑問を持ったほうが良いと私は考えています。
そこには「それさえしてれば良い」という間違った認識をしてしまう落とし穴が潜んではいないでしょうか?
※置き換えダイエットもやり方次第だと思うので、決して否定したいわけではないのですが、1食犠牲にすると、どうしても栄養が偏った食生活になりがちです。あと、殆どのプロテインに入っている人工甘味料も体に悪いです。
今回の塩水療法でいうと、自然の塩なら積極的にとっていいなんて言われて、「そうか、積極的にとれってことはなるべく多くとったほうがいいんだな」と勘違いし、結果的に塩分の過剰摂取をしてしまうという。
人ってついついそういった情報のとらえ方をしてしまいがちなんですよね。ここが落とし穴だと私は思うのです。
参考引用元 練馬桜台クリニック
※塩感受性の高い方の場合は特にです。最初のほうにも書きましたが、日本人の2割くらいは塩感受性が高いそうです。心臓や腎臓の弱っている方も要注意なので塩水療法を実行したい方は、事前に医師に相談が必要です。
「塩水療法をしているから多少無茶な食生活をしても大丈夫」なんてことは考えてはいけません。それ全然大丈夫じゃないですから…
上述もしていますが、塩水療法をしているからといって塩分の高い食事をしていると普通に血圧は上がってしまいますので、気を付けないといけません。そして減塩食にも油断は禁物!といいますか減塩ものは足りない塩分を添加物で補われているので、進んで採らないほうが良いと思います。
健康っていうのは本当に人によるところがあって、食事、サプリ含めこれさえとってれば良いっていう正解がありません。
どんな健康法であってもそれに傾倒せず、バランスの良い食事を心掛けたいものですね。