若返りの薬なんて聞くと、「マンガか仮想現実か遠い未来の世界のもの」なんてイメージする方が多いと思います。
しかし、現在、というかすでに若返り薬というのは実用化に向けて着々と研究、開発されていることをご存知でしょうか。
今回は近い未来に現実になる若返りの薬「NMN」について書いてみたいと思います。
若返り薬「NMN」とは?
NMNっていう「若返り薬」があるって聞いてもまったく馴染みがないですよね。
この「NMN」(ニコチンアミド・モノヌクレチオド)という若返り薬はワシントン大学セントルイス校医学部今井眞一郎教授と米ハーバード大学医学大学院の生物学者であるデイヴィッド・シンクレア教授が研究、開発において世界的権威者として知られています。
彼らは若返りと長寿研究の第一人者で、細胞の修復機能にNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)が重要な役割を果たすことを発見しました。そしてそのNADの元になるのがこの「NMN」ということなのだそうです。
NADについては、ワシントン大学(ミズーリ州セントルイス)の今井眞一郎教授曰く
NAD合成を促進することで、サーチュインと呼ばれる老化•寿命の制御因子を活性化させる。ここが重要です。NADは、全身の様々な臓器・組織において加齢とともに低下していくことが明らかになっています。NADが低下すると臓器や組織の機能が低下し老化関連疾患の病気を引き起こすことも分かってきました。NMNはこのNADの生産に関わる重要な役目をしているのです」(NAMPTには、細胞内で働くiNAMPTと、細胞外で働くeNAMPTがある)
「夢の若返り薬」最新情報 今井教授が語る「こうして長生きする!」より引用
ということから
NADには加齢による病気や様々な体の機能の低下をも若返らせて回復させる可能性があるようです。
現在のNMNよりも優れた薬がすでに開発されている!?
NMNが開発されたのは最近といえば最近なのですが、実はそんなに新しいものではなく、現在は更に進化した若返り薬が開発されているようです。
費用については後述もしますが、以前は100mg 4万円とセレブしか購入不可な代物でしたが将来的には誰でも手に入れられるコスト(コーヒー1杯分とか)まで下がることが予想されているとのこと。
そして、現段階でマウスをつかった実験でも好結果が確認されています。
NEXT WORLDではワシントン大学セントルイス校医学部今井眞一郎教授とハーバード大学医学部デビッド・シンクレア教授が同じ様な研究を行い、生後2年(ヒト年齢約60歳)のマウスにNMNを1週間投与したら、生後6ヶ月(ヒト年齢約20歳)の運動能力、外観、活動レベル、細胞活性レベル他まで若返ったとフューチャーされていました。
また、シンクレア氏の実験ではマウスの寿命を10%延ばすことに成功しているようです。
人間の寿命は150歳になる!?あるいはそれ以上か!
NMN開発者であるシンクレア氏は自らの体にNMNを投与し人体実験を行っているのですが、期待通りというべきか、大変驚くべき結果を出したのです。
その結果というのが「生物学的年齢が24歳下がった」のだそうで、当時49歳だったシンクレア氏の体は一気に25歳まで若返ったのです。
通常人間の寿命はDNAにあるテロメアの長さだといわれていて、人間の寿命というのはどんなに長生きしても脳の寿命を迎えるのが120歳あたりであるためどれだけ体が動こうが脳の機能が停止したときが寿命だということを聞いたことがあります。
でも、脳細胞まで若返らせることが出来るのだとしたら、人間の寿命はもう150歳?いやいやいや、最終的には肉体が消滅しない限り生きたいだけ生きられるようになるのかもしれませんね。
今は値段が高いけど近い未来コーヒー1杯分の値段まで下がる
そんなすごい薬…やっぱりお高いんでしょう?ときっと誰もがそう思う事でしょう。
なぜなら髪の毛の再生医療の場合、最初は一千万単位のお金が必要なんていわれていますし、そもそも医療関係といったら第一に「保険」が効かなければ
庶民感覚でゼロが一個か二個多いのが当たり前で・・・もう「見間違いか!?」と三度見くらいしたり、「ちょっと!単位間違ってますよ!」って突っ込みたくなるくらい膨大な金額がかかるのが現実です。
しかし、現在開発されているNMNはなんと!
コーヒー1杯分にまでコストを抑えることができると言われているんです。
それはコンビニのほう?なのか、それともスタバのほう?なのか…?まぁどちらにせよ
実用化にはまだ数年先ですが、そんな値段で手に入ったら絶対誰でも買いますよね。ていうか買い漁る人続出の品切れ続きで最初は一気にインフレ起きそうな気もします。
あらゆる病気にも有効
体内の細胞の修復機能が若返り、活性化させることができるため寝たきりの人が元気になったり、損傷した臓器、麻痺した身体の治療にも有効なんだそうです。
これはもしかするとただの若返りや病気の回復だけでなく、先天的に障害をもって生まれた方にとっても救世主となりうる可能性を秘めているかもしれませんね。
アルツハイマーなどの認知症にも効果が期待できるそうです。
薬と言えば副作用!NMNの場合はどうなの!?
NMNには副作用は無いの?ってところは誰もが気になるところだと思います。
なんといっても薬といえば必ずついて回るのが副作用ですからね。どんなに良い効果が期待出来ても副作用が諸刃の剣だったら使おうにも使えないって話です。
そんな気になるNMNの副作用についてですが、今のところ何一つ確認されておりません。
「薬」というよりも「サプリメント」という位置づけに近いのかもしれませんね。
まとめ
では、最後にまとめです。
- 今はまだコストが高いが早ければ2025年に誰もが入手できる値段で購入が可能になる(予定)
- NMNは老化予防(アンチエイジング)だけでなく、あらゆる病気にも有効
- NMNは寿命を延ばす効果もある
- 副作用はいまのところ確認されていない
さて、ここからは若返り「アンチエイジング」についての朗報を追記いたします。
老化・加齢疾患におけるGLS1阻害剤のあらゆる可能性を解き明かす
さて、続きになりますが、東京大学医科学研究所から発表されたエキサイティングな研究成果をご紹介したいと思います。
この研究は、細胞老化の理解を大きく前進させるものであり、加齢に伴う疾患の治療法に革命をもたらす可能性があります。
細胞の老化の科学
細胞は様々なストレスを受けると、不可逆的な成長停止状態に陥ることが知られており、この現象は細胞老化または老化と呼ばれています。
これまでの研究で、加齢に伴いこの老化細胞が体内に蓄積されると、動脈硬化や腎臓病などの加齢性疾患の発症につながることが明らかになっています。
興味深いことに、老化したマウスからこの老化細胞を遺伝的に除去すると、これらの病気の発症が著しく遅延し、マウスの健康寿命が延びることがわかりました。
しかし、老化細胞は組織や臓器によって多様性を示すことが課題であり、これまでは、これら多様な老化細胞を除去できる薬剤やその標的を特定することができませんでした。
老化研究のブレークスルー
東京大学医科学研究所の城村義和助教授と中西誠教授らの研究グループが、大きなブレークスルーを起こしました。
彼らは、純粋な老化細胞を培養する新しい方法を開発し、この細胞の生存に不可欠な遺伝子、グルタミン代謝に関わるGLS1を特定しました。
その結果、老化細胞はリソソーム膜の損傷によって細胞内pHが低下し、GLS1阻害剤に対する感受性が高まっていることがわかったのです。
また、GLS1阻害剤を老化マウスや老化関連疾患モデルマウスに投与したところ、生活習慣病をはじめとするさまざまな老化関連症状や疾患に改善が見られたという。
アンチエイジング治療薬の将来性
今回の研究により、老化細胞の代謝特異性を標的とした新たなアンチエイジング治療法の開発の可能性が開かれました。
GLS1阻害剤は、体内の老化細胞の除去に有効であるだけでなく、様々な老化現象や加齢に伴う疾患を有意に改善することができました。
興味深いことに、GLS1阻害剤は現在、がん治療薬の候補として臨床試験中であるといいます。この研究により、がんを含む様々な加齢性疾患に対する革新的なアンチエイジング療法や予防治療法の開発に道を開くことが期待されます。
本研究は、2021年1月15日(米国東部標準時)に国際科学雑誌「Science」に掲載されました。詳しくは、こちらの元記事をご覧ください。
科学と研究の世界からのエキサイティングな最新情報にご期待ください!