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秘密結社はグローバル化する

P3ロッジの背後にある構造は、イタリアの国境を越え、国際金融資本の中枢に食い込んでいる。従来の“陰謀”という言葉の域を超えた、制度化されたグローバル・ガバナンスの別形態がそこにある。
その中核を成すのが、バチカン銀行(IOR)と国際財閥のネットワークである。そしてその背後には、ロスチャイルド家、ロックフェラー家、ウォーバーグ家といった、19世紀から国際通貨・中央銀行制度を動かしてきた家系の影が見え隠れする。
2. バチカン銀行の暗部と「道徳的投資」の仮面
IORは表向きは慈善活動のための資金を管理する教皇庁の銀行だが、実際にはその閉鎖性ゆえに、長年にわたり資金洗浄や脱税の温床とされてきた。
とりわけロベルト・カルヴィの不審死をめぐるバンコ・アンブロシアーノ事件では、P2の資金ルートにIORが深く関与し、その資金が一部はCIAと協力した反共資金としてアフリカ・中南米・中東の工作資金に使われたとされる。


さらに近年では、バチカンが一部の“モラル投資ファンド”と称する外部投資ビークルを通じて、ロンドンやスイスのヘッジファンドを経由し、軍需産業や投機的商品に投資していた疑惑が浮上した。これにはロスチャイルド系のプライベートバンキング部門が一部関与していたという国際金融調査ジャーナルの報告も存在する。
3. ロスチャイルド家と“透明な影”

18世紀末からヨーロッパ各国の王室に金融を提供してきたロスチャイルド家は、中央銀行制度を通じた国家の債務管理を支配するモデルを確立した。その一部は、バチカンと直接関与していた時期もあり、19世紀にはバチカンの財政再建を担当した記録も残っている。

現代でも、ロスチャイルド家の資産運用会社は、国際的なファミリーオフィスの形で各国の中央銀行、国際機関(IMF、BIS)と接点を持ち、宗教財団や人道支援団体への資金仲介役を担うこともある。
ロスチャイルド系資金とバチカン資金が交差する点に、P3以降の見えざる権力構造の中核があるのではないかという見方もある。
4. デジタル通貨と分散型支配ネットワーク
中央銀行が進めるCBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入計画の背景にも、ロスチャイルドやブラックロック、ヴァンガードといった超大手投資ファンドの影響が指摘されている。これらの金融勢力は、政策提言、規制案の設計、通貨発行のインフラ整備に関与していることが各国議会の調査報告でも明らかになっている。
さらに、バチカンが一部のフィンテック企業に出資している事実、仮想通貨の創世期における匿名ファンドからの支援などを踏まえると、宗教と金融の融合が新たな支配の地平を形成しようとしていることが見て取れる。
5. 結論:現代の“ロッジ”とは何か
P3ロッジの正体を突き詰めると、もはや秘密の部屋や会員制サロンではなく、国際的な法制度と金融メカニズムそのものの中に“支配のコード”が埋め込まれていることに気づかされる。
それはかつてのようにスーツ姿のフリーメーソンが陰謀を企てるという単純な構図ではなく、国際金融システム、宗教機関、AIとデジタルインフラ、情報戦、そして文化戦略といった複合要素が組み合わさった“新たなグローバル・ロッジ”の誕生である。
我々市民がその構造を知り、可視化し、問い直すことは、真の意味での民主主義の再生に繋がる第一歩なのかもしれない。
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