射出成形品を金型から取り出したとき、製品の角やリブ、エジェクタピンの周辺などが部分的に白くなっていることがあります。
黒色や濃い色の製品では特に目立ちやすく、「金型に入る前は黒かったのに、なぜ出てきたら白くなっているのか」と不思議に感じることもあるでしょう。
もちろん、製品が金型の中で急に色白になったわけではありません。
この白化は、金型から製品を取り出すときに樹脂へ強い力がかかり、表面や内部に細かな変化が起きることで発生している可能性があります。
白化が発生すると、製品の外観が悪くなるだけでなく、その部分に強い応力がかかっていることを示している場合もあります。白化がひどい場合は、クラックや割れ、変形へつながることもあるため、「見た目だけの問題」と簡単に片づけることはできません。
この記事では、射出成形品が白化する仕組みと、離型不良、抜き勾配、製品形状、金型表面、成形条件などとの関係について、金型製作・修理の現場目線で分かりやすくご紹介します。
射出成形品の「白化」とは?
射出成形品の白化とは、樹脂に強い引っ張りや曲げ、圧縮などの力がかかり、その部分が白っぽく見える現象です。
樹脂の種類によって詳しい仕組みは異なりますが、強い力によって樹脂内部に非常に細かな空隙やクレーズと呼ばれる微細な変化が生じると、そこで光が乱反射します。
その結果、もともとは黒色や透明、あるいは濃い色だった部分が白く見えるようになります。
このような現象は「応力白化」とも呼ばれます。
身近な例では、プラスチック製品を強く曲げたとき、折れ曲がった部分が白くなることがあります。射出成形品の離型時にも、これと似た現象が起きています。
つまり、白化は樹脂からの「ここにかなり無理な力がかかりました」という報告書のようなものです。できれば、白旗を上げる前に気づいてあげたいところです。
白く見える不良がすべて「応力白化」とは限らない
製品が白く見えるからといって、すべてが離型時の応力による白化とは限りません。
似たような外観不良には、次のようなものがあります。
- 金型とのこすれによる擦り傷
- 水分やガスによるシルバーストリーク
- 離型剤や油分の付着
- 異物や別材料の混入
- ガラス繊維などの表面浮き
- ウェルドライン周辺の色調変化
- 材料の劣化や分解による変色
離型剤や油分であれば、拭き取ることで薄くなる場合があります。
一方、樹脂内部に発生した応力白化は、表面を拭いても基本的には消えません。
また、ゲートから樹脂の流れに沿って白い筋が伸びている場合は、離型不良ではなく、材料中の水分やガスによるシルバーストリークの可能性があります。
白化対策を始める前に、まず「本当に離型時の応力白化なのか」を見分けることが大切です。
原因が違えば、当然ながら対策も変わります。シルバーストリークに対して抜き勾配を増やしても、残念ながら材料の水分までは抜けてくれません。
離型不良によって白化が発生する仕組み
射出成形品は、冷えて固まるときに収縮します。
箱形状や筒形状の製品では、収縮した樹脂が金型のコア側へ強く抱きつくような状態になることがあります。
その状態でエジェクタピンを使って製品を押し出すと、製品には次の二つの力が同時にかかります。
- 金型に残ろうとする力
- エジェクタピンによって押し出される力
樹脂は金型に残りたい。一方、エジェクタピンは何としても外へ出したい。
この綱引きによって、製品の角、リブ、ボス、側壁などに強い引っ張りや曲げの力がかかり、白化が発生します。
離型抵抗が大きいほど、製品を取り出すために必要な力も大きくなります。そのため、白化を改善するには、単にエジェクタピンを強く押すのではなく、製品が無理なく金型から離れるようにすることが重要です。
白化が発生する主な原因
抜き勾配が不足している
離型不良による白化で、まず確認したいのが抜き勾配です。
抜き勾配とは、製品を金型から取り出しやすくするために、側面へわずかな傾斜をつけることです。

製品側面が金型の開閉方向に対して完全な垂直になっていると、製品と金型が広い面積で接触したまま動くことになります。
その結果、離型抵抗が大きくなり、側面がこすれたり、角部が引っ張られたりして白化が発生します。
抜き勾配は、製品が金型から出るための「出口のスロープ」のようなものです。スロープがなければ、製品は金型の壁をこすりながら、かなり無理をして出てくることになります。
必要な抜き勾配は、樹脂の種類、製品の深さ、表面状態、シボの有無、成形収縮率などによって変わります。
一般的な目安としては、平滑な面でも片側0.5~1度程度以上が検討されることが多く、深い形状やシボ面では、さらに大きな抜き勾配が必要になる場合があります。
ただし、「1度あれば必ず大丈夫」というものではありません。深い箱形状や、収縮によってコアを強く締め付ける製品では、さらに大きな勾配が必要になることもあります。
製品の深さに対して抜き勾配が小さい
同じ抜き勾配でも、製品の深さによって離型のしやすさは変わります。
浅い製品であれば小さな勾配でも問題なく離型できる場合がありますが、深い箱形状では、側面と金型が接触する距離が長くなります。
接触距離が長くなるほど摩擦も大きくなり、製品がコアへ強く抱きつきやすくなります。
特に、深い製品の側壁がほぼ垂直になっている場合は、成形直後には問題がなくても、金型表面のわずかな汚れや摩耗によって、白化が出始めることがあります。
「今までは抜けていたから、この抜き勾配で問題ない」とは言い切れません。金型も製品も、使い続けるうちに少しずつ条件が変わっていきます。
製品の角にRがない、またはRが小さい
製品の角が鋭いと、離型時の力が狭い範囲に集中します。
特に、側壁と底面の境界、リブやボスの根元などは応力が集中しやすく、白化が発生しやすい場所です。
角部のRが小さすぎると、製品が金型から外れるときに、その角を支点として製品が曲げられるような状態になることがあります。
このような場合は、角部のRを大きくすることで応力が分散し、白化を改善できる可能性があります。
Rは単なる見た目の丸みではありません。樹脂にかかる力を優しく受け流してくれる、いわば製品形状のクッションです。
製品機能や組み付けに影響しない範囲でRを大きくできるのであれば、離型性だけでなく、樹脂の流れや製品強度の改善にもつながります。
アンダーカットが発生している
製品形状にアンダーカットがあると、金型を開くだけでは製品を取り出せません。
設計上はアンダーカットがないように見えても、金型部品の位置ズレ、摩耗、加工誤差などによって、部分的に逆勾配になっていることがあります。
また、製品が冷却収縮してコアへ強く抱きつくことで、実質的にアンダーカットのような状態になる場合もあります。
その状態で無理に突き出すと、製品が引っ張られ、白化や変形、割れが発生します。
毎回同じ位置に強い白化が出る場合は、その周辺に逆勾配や引っ掛かりがないか確認してみましょう。
金型表面が粗い、または磨き方向が適切でない
金型表面が粗いと、製品と金型の間に大きな摩擦が発生します。
放電加工面や切削目が強く残っている場合、その凹凸へ樹脂が入り込み、離型時に引っ掛かることがあります。
また、金型を磨いていても、磨き目が抜き方向に対して直角に入っていると、製品が引っ掛かりやすくなることがあります。
製品が動く方向に沿って金型表面を仕上げることで、離型抵抗を小さくできる場合があります。
ただし、「白化しているから、とにかくピカピカに磨けばよい」というわけでもありません。
磨き方や磨く場所を間違えると、寸法が変わったり、PL面や合わせ部分に隙間ができたりすることがあります。きれいになった代わりに、別の不良が登場しては困ります。
金型の形状や当たりを確認したうえで、必要な部分だけを適切な方向に仕上げることが大切です。
金型表面に傷、さび、汚れがある
金型表面に傷やさび、樹脂の付着、ガス汚れなどがあると、その部分だけ離型抵抗が大きくなります。
それまで問題なく成形できていたのに、ある時期から特定の場所に白化が出始めた場合は、金型表面の状態を確認してみましょう。
細かな傷や汚れでも、製品が収縮して強く密着すると、かなり大きな引っ掛かりになることがあります。
金型にとっては小さな傷でも、製品にとっては出口をふさぐ段差になるわけです。
保圧が高すぎる、または保圧時間が長すぎる
保圧を高くすると、樹脂がキャビティ内へ強く押し込まれます。
ヒケや寸法不足を抑えるためには必要な工程ですが、保圧が高すぎると製品が金型表面へ強く押し付けられ、離型抵抗が大きくなることがあります。
また、コア側へ収縮する箱形状などでは、保圧によって製品密度が上がり、冷却後にコアを強く締め付ける場合があります。
保圧を少し下げたときに白化が改善するのであれば、過剰な保圧が離型抵抗を高めていた可能性があります。
ただし、保圧を下げすぎると、今度はヒケや寸法不足が発生します。
白化を直したらヒケが出た、ヒケを直したら白化が戻ったとなると、また成形担当者が板挟みになります。
成形条件だけで両立できない場合は、抜き勾配や製品形状、金型表面なども見直す必要があります。
冷却時間が短く、製品が柔らかいまま突き出している
冷却時間が短いと、製品が十分な硬さになる前に金型から押し出されます。
製品が柔らかい状態では、エジェクタピンの力で変形しやすく、ピン周辺や角部に応力が集中して白化が発生することがあります。
冷却時間を延ばしたときに白化が改善する場合は、離型時の製品温度が高すぎた可能性があります。
ただし、冷却時間を長くすれば必ず良くなるとは限りません。
樹脂の種類や製品形状によっては、冷却収縮が進むほど製品がコアへ強く抱きつき、かえって離型抵抗が大きくなることもあります。
冷却時間は、「長ければ安心」ではなく、製品が十分な剛性を持ち、なおかつコアを締め付けすぎない範囲に調整することが大切です。
樹脂温度や金型温度が適切でない
樹脂温度や金型温度が低すぎると、樹脂の流れが悪くなり、成形時の圧力が高くなったり、製品内部に強い残留応力が残ったりすることがあります。
その状態で離型時に力が加わると、白化が発生しやすくなります。
反対に温度が高すぎると、製品が柔らかいまま突き出されたり、冷却時間が不足したりすることがあります。
つまり、温度は上げればよい、下げればよいという単純なものではありません。
樹脂メーカーが示す適正範囲を基準に、製品の充填状態、離型時の硬さ、収縮の状態を見ながら調整する必要があります。
エジェクタピンの数や配置が適切でない
製品を押し出す力が一部分に集中すると、その部分だけが強く変形し、白化することがあります。
例えば、広い製品を少ない本数のエジェクタピンで押している場合、一本のピンが受け持つ力が大きくなります。
ピン一本に製品全体の「退場係」を任せているような状態です。さすがに少し荷が重いかもしれません。
また、エジェクタピンが薄い部分や剛性の低い場所に配置されていると、ピン周辺が盛り上がったり、反対側がへこんだりして白化が発生します。
エジェクタピンの本数、太さ、配置、突き出し速度、各ピンの高さがそろっているかを確認する必要があります。
必要に応じて、ピンの追加や大径化、押し出し位置の変更、ストリッパープレートの採用などを検討します。
エジェクタピンの突出しバランスが悪い
複数のエジェクタピンを使っていても、すべてのピンが同じ高さで均等に製品を押しているとは限りません。
ピンの長さに差があったり、エジェクタプレートの動きに問題があったりすると、一部のピンだけが先に製品へ当たります。
すると、製品が斜めに押し出され、片側の角や側壁に強い力がかかって白化することがあります。
製品の片側だけに白化やこすれが集中している場合は、突出しのバランスも確認してみましょう。
突き出し速度が速すぎる
エジェクタの突き出し速度が速すぎると、製品へ急激な力がかかります。
ゆっくり押せば外れる製品でも、一気に押すことで局所的に変形し、白化することがあります。
突き出し速度を下げることで白化が改善する場合は、製品が金型から離れる瞬間の衝撃が大きすぎた可能性があります。
ただし、速度を下げても大きな力が必要な状態であれば、根本的な離型抵抗は残っています。
その場合は、抜き勾配や表面状態、アンダーカットなど、製品が金型へ引っ掛かっている原因を確認する必要があります。
真空状態によって製品が金型へ吸い付いている
箱形状や深い形状の製品では、製品と金型の間に空気が入りにくく、離型時に真空に近い状態になることがあります。
製品が吸盤のように金型へ吸い付くと、エジェクタピンで押し出すために大きな力が必要になります。
その結果、ピン周辺や製品の角に白化が発生することがあります。
金型を開いた瞬間に「ポン」という音がしたり、ある位置まで急に製品が抜けなかったりする場合は、真空による吸着も疑ってみましょう。
エアポペット、エアブロー、適切なガス抜きなどを追加し、製品と金型の間へ空気を入れることで改善できる場合があります。
白化の位置から原因を絞り込む
白化が出ている場所を見ると、原因をある程度絞り込むことができます。
| 白化が発生している場所・状態 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 製品側面全体 | 抜き勾配不足、金型表面の粗さ、コアへの締め付け |
| 製品の角や隅R | R不足、応力集中、部分的な引っ掛かり |
| リブやボスの根元 | 形状による応力集中、コアへの抱きつき |
| エジェクタピン周辺 | ピン配置、本数、突出しバランス、冷却不足 |
| 製品の片側だけ | 片側の引っ掛かり、突出しの傾き、局所的な傷 |
| スライドや入れ子との境界 | 位置ズレ、アンダーカット、合わせ部分の段差 |
| 金型の開閉方向に沿った白い筋 | 金型とのこすれ、磨き不足、傷やさび |
| ゲートから流れ方向へ白い筋 | シルバーストリーク、ガス、材料中の水分 |
| 拭くと薄くなる白い跡 | 離型剤、油分、付着物 |
| 製品を曲げたときに白くなる | 残留応力、材料の靱性不足、応力集中 |
この表はあくまで原因を探るための目安です。
例えば、エジェクタピン周辺に白化が出ていても、原因がピンそのものではなく、製品全体の離型抵抗が大きいために、結果としてピン周辺へ力が集中している場合があります。
白化している場所だけを修正するのではなく、「なぜそこへ大きな力がかかったのか」を考えることが大切です。
白化が離型時に起きているかを見分ける方法
白化が現れるタイミングを確認する
まず、白化がいつ発生しているのかを確認します。
- 金型が開く前から白くなっている
- エジェクタピンで押し出す瞬間に白くなる
- 取出機で製品をつかんだときに白くなる
- 成形後に製品を曲げたり組み付けたりすると白くなる
- 時間がたってから白さが目立つ
エジェクタピンで押し出す瞬間に白化するのであれば、離型抵抗や突き出し方法が原因である可能性が高くなります。
一方、取出機でつかんだときや、後工程で組み付けたときに白化する場合は、金型だけでなく、製品の残留応力や後工程の負荷も確認する必要があります。
白化した場所と金型側の位置を照らし合わせる
白化した製品を金型へ対応させ、どの部分で発生しているかを確認します。
白化部分の金型側に、次のような問題がないかを見ていきます。
- 傷やさび
- 放電加工面や切削目
- 汚れや樹脂の付着
- 抜き勾配不足
- 逆勾配
- 入れ子の段差
- スライドの位置ズレ
- 角部の小さなR
- エジェクタピンの位置
製品だけを見て原因を考えるよりも、金型の対応する位置と照らし合わせたほうが、引っ掛かりを見つけやすくなります。
冷却時間を少しずつ変更する
冷却時間を少しずつ変更し、白化の状態がどう変化するかを確認します。
冷却時間を延ばすことで白化が減る場合は、製品が柔らかいまま突き出されていた可能性があります。
反対に、冷却時間を延ばすほど白化が強くなる場合は、収縮によって製品がコアへ強く抱きついている可能性があります。
冷却時間は一方向に大きく変更するのではなく、少しずつ変えて製品の硬さと離型抵抗を確認することが大切です。
保圧を少しずつ変更する
保圧を下げたときに白化が改善する場合は、製品が金型へ強く押し付けられていた可能性があります。
ただし、保圧を下げたことでヒケや寸法不足が発生していないかも確認します。
白化だけを止めて、代わりに大きなヒケができてしまえば、不良の種類を交換しただけです。
適正な保圧で良品を作れない場合は、成形条件だけでなく、抜き勾配、金型表面、製品形状などを見直す必要があります。
突き出し速度を変更する
突き出し速度を下げたときに白化が改善する場合は、製品へ急激な負荷がかかっていた可能性があります。
また、突き出しを一段階ではなく、最初はゆっくり動かして金型から製品を離し、その後に速度を上げる方法が有効な場合もあります。
ただし、ゆっくり押しても製品が急に外れる場合は、金型へ強く引っ掛かっている可能性があります。
そのような場合は、速度だけでなく、抜き勾配や真空吸着、金型表面を確認しましょう。
条件は一度に一つずつ変更する
白化が発生すると、冷却時間、保圧、温度、突き出し速度を一度に変えたくなるかもしれません。
しかし、複数の条件を同時に変更すると、何が白化に影響したのか分からなくなります。
条件を全部動かすと、白化だけでなく原因まで姿を消してしまいます。
現在の条件と製品状態を記録し、一つずつ変更して比較することが、原因を見つける近道です。
成形条件でできる白化対策
離型時の白化は、次のような成形条件の調整によって改善できる場合があります。
- 冷却時間を適正化する
- 保圧や保圧時間を調整する
- 突き出し速度を遅くする
- 突き出しを段階的に行う
- 樹脂温度を適正範囲に調整する
- 金型温度を安定させる
- 射出速度や射出圧力を見直す
- 離型剤の使用方法を見直す
ただし、離型剤によって一時的に白化が改善しても、抜き勾配不足や金型表面の傷が解消されたわけではありません。
離型剤がなければ成形できない状態になっている場合は、金型側に根本的な問題がないか確認したほうがよいでしょう。
離型剤は便利ですが、すべてを解決してくれる魔法のスプレーではありません。
金型側でできる白化対策
抜き勾配を大きくする
製品機能や寸法に影響しない範囲で、コアや入れ子の抜き勾配を大きくします。
特に、深い側壁、シボ面、リブ、ボスなどは、十分な勾配が必要です。
金型完成後に抜き勾配を追加する場合は、製品寸法や肉厚が変化するため、どの面を基準として修正するかを事前に確認する必要があります。
角部のRを大きくする
白化している角部やリブの根元にRを追加し、応力を分散させます。
Rを大きくすることで、離型時の引っ掛かりを減らせるだけでなく、樹脂の流れや製品強度が改善する場合もあります。
ただし、組み付けや製品機能に関係する部分では、相手部品との干渉を確認する必要があります。
金型表面を適切に磨く
傷、さび、放電加工面、粗い切削目などを修正し、抜き方向に沿って表面を仕上げます。
ただし、寸法や形状を変えないように、必要な部分だけを慎重に磨くことが大切です。
磨きすぎによって隙間や段差ができると、白化が直ってもバリが発生することがあります。
白化を追い出したら、今度はバリが入ってきたということにならないよう、修正量を管理する必要があります。
エジェクタピンを追加・変更する
突き出し力が一部分に集中している場合は、エジェクタピンの追加、大径化、配置変更などを検討します。
製品の剛性が高い場所を押すようにし、薄い面や外観面に力が集中しないようにします。
広い面積を均等に押し出す必要がある場合は、ストリッパープレートなどの機構が有効なこともあります。
真空吸着を解消する
深い箱形状や筒形状では、エアポペットやエアブローを追加し、製品と金型の間へ空気を入れます。
真空吸着が解消されることで、必要な突き出し力が大幅に小さくなり、白化や変形を抑えられる場合があります。
スライドや入れ子の位置を調整する
スライドや入れ子に段差や位置ズレがある場合は、正しい位置へ調整します。
ロッキングブロックや摺動部の摩耗、かじりなども確認し、成形時に部品が動いていないかを調べます。
特定の合わせ部分だけに白化が出ている場合は、その部分にアンダーカットや段差ができている可能性があります。
製品設計でできる白化対策
金型を製作する前であれば、製品設計の段階で離型しやすい形状にしておくことが最も効果的です。
具体的には、次のような点を確認します。
- 側面に十分な抜き勾配をつける
- 深すぎる箱形状を避ける
- 角部に適切なRをつける
- 急激な肉厚変化を避ける
- リブやボスの根元へ応力を集中させない
- 不要なアンダーカットをなくす
- エジェクタピンを配置できる場所を確保する
- 製品が均等に突き出される形状にする
- 真空吸着が起きにくい形状を検討する
製品の見た目や機能を優先すると、どうしても抜き勾配を小さくしたくなる場合があります。
しかし、図面上では格好よく見えても、金型から出てこなければ量産はできません。
製品設計の早い段階で金型メーカーへ相談し、必要な抜き勾配やR、突き出し方法を確認しておくことで、完成後の大きな修正を減らせます。
金型修理を検討したほうがよいケース
次のような場合は、成形条件だけでの解決が難しく、金型の修理や製品形状の変更が必要になる可能性があります。
- 適正な成形条件でも同じ場所に白化が出る
- 冷却時間や突き出し速度を変えても改善しない
- 抜き勾配がほとんどない
- 金型に逆勾配や引っ掛かりがある
- 金型表面に傷、さび、段差がある
- スライドや入れ子の位置がずれている
- エジェクタピン周辺だけに強い白化が出る
- 製品が斜めに突き出されている
- 離型時に大きな音や抵抗がある
- 製品が変形してから金型から外れる
- 離型剤を使わなければ成形できない
- 白化部分からクラックや割れが発生している
修理方法は、白化している場所だけを見て決めるのではなく、製品が金型のどこへ抱きつき、どの方向へ変形しながら抜けているのかを確認してから検討します。
金型修理を依頼するときに準備しておきたい情報
白化修理を金型メーカーへ依頼する場合は、次のような情報があると原因を調べやすくなります。
- 白化が発生した製品サンプル
- 正常時の製品サンプル
- 白化位置が分かる写真
- 白化が発生するタイミング
- 現在の成形条件
- 冷却時間を変更したときの変化
- 保圧を変更したときの変化
- 突き出し速度を変更したときの変化
- 金型のおおよその総ショット数
- 白化が発生し始めた時期
- 金型の修理・改造履歴
- 使用している樹脂の種類
- すでに試した対策
特に、白化が出た製品サンプルは重要です。
製品の白化位置と金型側の対応する場所を照らし合わせることで、傷、逆勾配、ピン配置、スライド位置などを確認しやすくなります。
製品を送る際は、白化部分へ印をつけるだけでなく、固定側・可動側や製品の向きが分かる情報も添えておくと、よりスムーズです。
まとめ
射出成形品の白化は、製品を金型から取り出すときに強い力がかかり、樹脂の表面や内部に細かな変化が起きることで発生します。
特に、次のような要因が白化につながります。
- 抜き勾配が不足している
- 製品の角部にRがない
- 金型に逆勾配やアンダーカットがある
- 金型表面が粗い、または傷やさびがある
- 保圧が高く、製品が金型へ強く密着している
- 製品が柔らかいまま突き出されている
- エジェクタピンの配置やバランスが悪い
- 突き出し速度が速すぎる
- 真空状態によって製品が金型へ吸い付いている
- スライドや入れ子に段差や位置ズレがある
白化が発生したときは、まず白化の位置と発生するタイミングを確認し、成形条件と金型のどちらに原因があるのかを切り分けていきます。
成形条件の調整で一時的に改善しても、適正な条件へ戻すと再び白化する場合は、抜き勾配や製品形状、金型表面などに根本的な原因が隠れている可能性があります。
白化は見た目の問題であると同時に、製品がかなり無理をしながら金型から出ていることを知らせるサインでもあります。
有限会社名岐金型では、射出成形金型の製作だけでなく、製品の白化、離型不良、変形、バリなどに対する金型の修理・改造にも対応しています。
成形条件を調整しても白化が改善しない場合や、抜き勾配・R形状・突き出し方法の見直しが必要な場合は、白化した製品サンプルや現在の成形条件をご用意のうえ、お気軽にご相談ください。

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