弊社では水回り関係の金型も多く製作しているのですが、
頂いた図面を一目見て、「あ、ここは抜けませんよ(金型製作できませんよ)」と指摘するときがあります。
そこで今回はその1例として
L字パイプの製品設計と金型構造について書いてみたいと思います。
L字パイプの製品設計における注意点
簡単なモデルを作ってみました。
![](https://meigikanagata.com/wp-content/uploads/2020/01/L1-700x424.jpg)
L字パイプ
上のモデルで一見なにも問題ないように見えるかもしれませんが、実はこれでは
金型を製作することはできません。
どこがダメなのかというと、内側コーナーにRがついているからです。
ではL字パイプの断面を見ていきましょう。
![](https://meigikanagata.com/wp-content/uploads/2020/01/L6-700x469.jpg)
Rが内側につくと・・・
L字パイプの場合、通常コアは縦方向、横方向にスライドで抜くことになります。
その際に内側にRがつくことでどちらにスライドで抜くにせよ、先端部がアンダーとなってしまうわけです。
つまりこういうことです。
L字パイプの場合の内側はどうすれば良いのか?
では内側部分の形状はどのようにすれば良いのかというと
ピン角が望ましいです。
外観にどうしてもRが欲しいという場合はなるべく最小のRにし、コアピン側だけは
ピン角に設計する必要があります。
![](https://meigikanagata.com/wp-content/uploads/2020/01/L3-700x477.jpg)
こんな感じですね。
これで2方向にスライドで抜くことが可能になります。
ピン角にしてもアンダー部が残っている可能性があるので注意
さて、内側をRではなくピン角にすることでL字パイプは金型製作が可能になるわけですが、
CADでの設計で意外とアンダーになる部分が残ってしまっている場合もあります。
例えばこんな感じに。
![](https://meigikanagata.com/wp-content/uploads/2020/01/L8-686x524.jpg)
分かりにくいですが・・・
これはL字パイプをスライド側から垂直に見たコア部です。
内側をピン角に設計したはずが、上下両端に若干アンダー部が残ってしまっています。
これをこのまま製作してしまうと製品のとれない金型になってしまうわけですね。
CADでの設計の際、L字などのパイプ形状にはロフトを使う場合が多いかと思われますが、
良く見ていないとこのようなアンダーを残してしまう可能性がありますので注意が必要です。
上の図のようにスライドコア部から垂直にみた状態で2重線があればアンダー部があり、
逆になければアンダー部は無いという判断が出来ます。
例外編
今回のモデルとは違いますが、
R形状をカムを使って抜いたり、
スライドコアを特殊に細工して抜く方法があります。
YOUTUBEで色々なパターンが見られますので、少しご紹介したいと思います。
まだまだありますが、この辺にしておきます。
もっといろいろな動画がありますのでもし気になる方はYOUTUBEのほうで
「Pipe fitting mold」と検索していただければと思います。
まとめ
では今回のまとめです。
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L字パイプの内側にRをつけるとアンダーが生じて金型が抜けなくなってしまう
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L字パイプの場合は内側部はピン角にすること
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CADでピン角にしたつもりでもアンダー部が残っている場合があるので注意する
こんな感じですね。
次はL字パイプの金型設計でのインローについて書きたいと思います。