近頃よく耳にするようになったMMTについて否定する意見もあれば、肯定する意見もあり
いったいどちらが正しいのかわからなくなってしまっている人もいるのではないでしょうか。
MMTといえば「Modern Monetary Theory(モダンマネタリーセオリー)」の
略称でもあります。
日本だけでなく世界でも論争が展開されている「現代貨幣理論」のことを表しています。
日本はどうしてそこまでMMTの考え方を否定するのか疑問に思った人も多いのではないでしょうか。
今回はこのMMTについて詳しく説明していきます。
■MMTが生まれた背景について
MMTについて急に耳にするようになったと感じている人もいると思います。
もともとはアメリカで登場した理論でもあり、お金の本質を付くと考えられています。
またもっと簡単に説明すると貨幣とはどんなものかの認識をもとにした理論ともいえます。
この理論が世界的にも有名になったのは、ニューヨーク州立大学の
ステファニーケルトン教授がMMTを提唱し、
米国市場最年少になる女性下院議員である
「オカシオコルテス氏」がこの理論に足して支持することを表明したことにあります。
日本を始め世界の経済学者たちがこぞってこの理論に対して反発しているのですが、
本当にそうなのでしょうか。
MMT誕生の背景
MMTがどうして生まれたのかについてですが、
日本の経済がデフレからなかなか脱却できないことに対して
数名の経済学者が導き出した理論だと言われています。
ハイマン・ミンスキー氏、ゲオルク・フリードリヒ・クナップ氏などが
銀行のシステムのアプローチをもとに導き出したものになります。
政府がいくら借金を膨らませたとしても問題ないとする現代貨幣理論は、
今までの常識とは全く異なる考え方だといえるのではないでしょうか。
失業者を減少させたり、企業の投資の減少などの経済的な縮小を避けるためには、
財政を再建させるのではなく、
国家の赤字が増えても財政を拡張させるべきだと提唱しています。
いくらでも国家が国債を発行していいわけではない
但し、一つ注意してほしいことがあります。
勘違いしないでいただきたいのはMMTが正しいからといって
国家が無限に財政出動をしていいわけではないのです。
理由は大きく分けて2つ。
当然かと思われますが、一つはインフレ率が関係します。
政府が市場にお金を投入すれば、市場のお金が増えるわけですが、
世の中に出回るお金が増えれば増えるほどインフレになっていくのは明白ですので
そこは必ずコントロールしていく必要があります。
そしてもう一つ、
そもそもの話になりますが、国家がいくらでも
お金を出せるものなら、国民が税金を払う必要はなくなってしまいます。
そのような状況となると、
益々貧富の差が拡大したり、怠惰な社会となることで経済の破綻を招いてしまうわけです。
税金の主な役割は富の再分配であることからも納税は必要なんです。
■MMTを理解する為の貨幣についての考え方
そもそも貨幣とはどんなものだと思いますか。
多くの人達はこれに対して“商品”と認識しているはずです。
いわゆる商品貨幣論になり1万円札に対して1万円の価値があり、
1万円分の物が購入できる、いわゆる金貨と同じようなものだと考えています。
基本的な経済学これが基本となり出来上がっています。
そもそもお金はそのものに対して価値があると信用して、はじめてお金として機能するのです。
1万円札を見てもただの紙切れだと思うようになれば、
それはお金としての価値を失うことになります。
その貨幣を発行しているのが日銀であり、
金融政策を行うことで経済が循環していくと考えるきっかけになっています。
そもそも貨幣というのは負債の借用書のような役割をしています。
借金をしたり何かを借りるなどの取引を行うことで紙幣や貨幣が生み出され、
価値が出来上がっていくのです。
■日本がMMTに対して否定している理由
ではどうして日本はこのMMTに対して絶対的に否定するような動きを見せているのでしょうか。
それは日本の財務省にとって認めてしまうと
あまりにも都合の悪い事態になってしまうことにあります。
MMTは正しい理論であることを日本自身が証明してしまっているのです。
以前大蔵省が財政危機を理由に消費税を導入しましたね。
今では当たり前になっている消費税も昔はそんな税金はありませんでした。
3%を導入したものの経済の悪化を防ぐことができず、
5%に消費税をあげさらには8%と景気を悪くする結果を生み出してしまっているのです。
この間にも大蔵省が解体し財務省になり人の入れ替わりはあったものの、
同じことを繰り返す結果になってしまいました。
財務省にとって都合のいい理由で消費税を上げているに過ぎないことは
日本の国民は薄々気付いてしまっていると思います。
消費税を上げることによって財政危機を脱却できるのであれば
とっくに日本の景気は良くなっているはずでもあり、
2019年10月に予定している消費税10%なんて事態は起きないのです。
■国家の赤字が増えることは問題ない
これらの事態を法律で決めたから仕方がないと考えるのは
あまりに浅はかだといえるのではないでしょうか。
MMTの考え方をたどると、
通貨の発行権を持っている主権国家の場合は予算制約に対して直面するとは考えにくいのです。
今問題になっているインフレやデフレは、
生産・需要・環境などの制限や限界から生まれるものです。
この考え方をすると、国家の赤字は他の経済では黒字になると考えられます。
消費税を増やす行為は、国債を少なくする行為になりますので、
貨幣が少なくなり自然とデフレが起きることは明白です。
日本は通貨の主導権を国家が持っていると考えればそこまで心配はありませんが、
欧州各国のユーロはその発行権がなくなってしまっているので、経済の悪化も免れないといえます。
MMTについて日本が反対する理由や、
そもそもその理論が正しいと日本が証明してしまっていることについて理解していただけましたか。
経済学者のなかには否定している人もいるのですが、
これらの情報の本質を理解し本当に正しいことなのかを見極める力を持ちたいものですね。
こちらの関連記事もどうぞ